高知市の西方に位置する越知町の花の名山「横倉山」(774m)を訪ねました。1300種類もの植物がみられる植物の宝庫と言われ、植物学者・牧野富太郎博士の研究の場であり、田中澄江の花の100名山にも選ばれた山です。もう、どこを歩いても花にほとんど出会えない中、さすが花の名山、いろいろな秋の花に出会えました。
ヨコグラノキ(横倉の木) クロウメモドキ科
横倉山で発見されたのでこの名前が付いています。牧野博士の命名のようです。上の写真は横倉宮裏の断崖・馬鹿試しを写したものですが、左ピークのトップで黄葉している木(事前情報でヨコグラノキの見当をつけました)を望遠で撮ったのが下の写真です。馬鹿試しからでは撮影が危険だったので、この角度から撮りました。花は6月に開花しますが、3mmほどの黄色い小さな花です。この地特有のものではなく、分布は東北地方南部以南、四国、九州となっています。
クサヤツデ(草八手) キク科
杉が茂るうす暗い参道を登っていくと足元に、よく見ないと見落としてしまいそうな地味な
姿で生えていました。名前は葉の形から付いています。花はムラサキニガナの花びらがそっくり返った形です。分布は神奈川以西~近畿地方の太平洋側、四国、九州となっています。
アサマリンドウ(朝熊竜胆) リンドウ科
浅間竜胆だと思っていました。三重県の朝熊ヶ岳に多く見られることから付いた名前だそうです。花はきれいな鮮やかなブルーで、天気も良かったので花弁が開いています。登山道でよく見かけました。今年はいろいろな竜胆に出会えました。
シコクママコナ(四国飯子菜) ゴマノハグサ科
山道によく咲いていました。今年はいろいろなママコナに出会いました。唇状のかわいらしい花です。シコクママコナの分布は本州中部以西、四国、九州です。
アケボノソウ(曙草) リンドウ科 左
マツカゼソウ(松風草) ミカン科 右
登山道脇によく咲いていました。ここでは、アケボノソウとマツカゼソウが混生していました。
アキノギンリョウソウ(秋の銀竜草) シャクジョウソウ科(ツツジ科)
陽当りが十分でない斜面で出会いました。初めての出会いです。腐生植物です。ギンリョウソウに似ていることからギンリョウソウモドキとも呼ばれています。写真の状態は花が終わって実になったところで、この後茶色くなります。花期は9月から10月で、ギンリョウソウはその前5月から8月です。
アキノタムラソウ(秋の田村草) シソ科
登山道脇によく咲いていました。花期は長く夏から咲いているようです。青がきれいです。秋の他にケナツ(毛夏)ノタムラソウ、ハル(春)ノタムラソウがありますが、いずれもシソ科です。ところが、同じ名前のタムラソウは秋に咲くアザミの仲間でキク科です。
ヤマラッキョウ(山辣韭) ユリ科
岩場を鎖につかまって降りていると、突然目の前にこの花が・・・。この時期によく咲いていたと思いました。球根は小さく美味しくないので食用にはされないそうです。
横倉山から愛媛県宇和島市に電車で移動する途中の窪川駅で下車して、前から見てみたいと思っていた四万十川を見に行きました。水はもちろんですが、ごみや流木なども全くなくてほんとにきれいな川で感動しました。
宇和島にある篠山(ササヤマ1065m)と三本杭(サンボンクイ1226m)という山に登りましたが、花にはほとんど出会えませんでした。写真は篠山の山頂からの展望です。紅葉が始まっています。
ナンバンギセル(南蛮煙管) ハマウツボ科
篠山では、山頂付近でママコナがよく見られた他には特に見られませんでした。ただ、林道の脇のすすきの根元に珍しい植物を見つけました。山で出会ったのは2度目です。ススキなどの根元に寄生して光合成はせず、養分を摂る寄生植物です。南蛮のキセルに似ている、なるほどと思いました。
10月下旬ですから、花は期待しなかったので、横倉山は驚きでした。別の季節に再訪し、トサノミツバツツジや四国、九州でしか見られないケイビラン(鶏尾蘭)などに出会ってみたいと思いました。